「急な異動があったり」 「降格や減給」 会社員を長く続けていれば珍しいことではないですよね。
けれどそれが自分の身に起きたとき、あるいは職場で自分だけに向けられる「冷ややかな違和感」に気づいたとき。
「気のせいだと思いたい」 そう自分に言い聞かせても胸のざわつきが止まらない。
「もしかして会社から遠まわしに『辞めてほしい』って思われてる?」その不安、ひとりで抱え込まないでください。
残酷ですが、それは会社が意図的に送っている「サイン」の可能性があります。
今回は前職の経験も踏まえてその「サイン」の正体と「自分を守るためにすべきこと」についてお話しします。

その「扱い」は会社からの無言メッセージ

会社というのは本来リスクを極端に嫌う生き物。 「辞めてくれ」と直接言えば不当解雇のリスクがあります。
だからこそ、じわじわと外堀を埋めて本人に「ここにいたくない」と思わせる手法をとることがあります。
残酷ですが、よくある「サイン」を挙げます。思い当たる節がないかチェックしてみてください。
【ケースA:仕事の「質」が変わった】
【ケースB:人間関係の「温度」が変わった】
これが来たら要注意!「公式」な人事措置という名の攻撃

無言のサインだけではありません。 会社が「人事権」という強力な武器を使って、より直接的に精神的な追い込みをかけてくるケース。
これらは単なる組織変更に見せかけた、あなたへの攻撃かもしれません。
- プライドを砕く「年下・同期の上司化」 役職はそのままでも指揮命令系統を変えてくるパターン。
昨日まで部下だった後輩やライバルだった同期が突然「あなたの上司」になる。
かつての教え子に指示を仰がなければならない状況を作り出し、あなたのプライドを傷つけようとします。 - キャリアをリセットさせる「畑違いへの配置転換」 「営業一筋20年」のベテランを倉庫管理へ。「エンジニア」を総務の受付へ。
これまでの経験やスキルが全く通用しない部署へ異動させます。
ゼロからのスタートを強いることで「自分はここでは役に立たない」という無力感を植え付けるのが狙い。 - 屈辱的な「降格・減給」 明確な非行事実もないのに役職を解く、あるいは給料をガクンと下げる。
「会社におけるあなたの価値はここまで下がった」と突きつけるとともに経済的な不安を与えて「もう辞めるしかない」と思わせる手口。 - 嫌がらせのような「転勤」 持ち家を買った直後や親の介護中なのを狙ったかのような遠隔地への転勤命令。
業務上の必要性よりも「行けないなら辞めるしかないよね?」という無言の圧。 - グループ会社への「片道切符」 「出向」という名の下流し。本体とは全く関係のない業務や明らかに規模の小さな子会社へ送られます。
期限や復帰の約束がない場合、それは事実上のリストラ宣告(体のいい厄介払い)である可能性が高いのです。
これらすべてあなたの心を折り自ら「辞表」を書かせるための冷徹な演出である可能性が高いのです。
【実話】「絶対に辞める」と誰もが思ったAさんが選んだ道

ここで少し私が人事時代に見てきた忘れられないエピソードをお話しさせてください。 年下の同僚Aさんの話です。
ある日、彼女に下された辞令。それはあまりに酷なものでした。
異動先は新設部署。業務はAさんがずっと担当してきた得意分野でしたが問題はその部署の「責任者(上司)」でした。
やってきた上司はその業務を全く知らないAさんの同期だったのです。
「これ完全に辞めさせようとしてるよね」 「プライド、ズタズタだよね」周囲はみんなそう噂しました。
私も正直「彼女、辞めるだろうな」と思っていました。会社側の「辞めてくれ」という意図があまりに透けて見えていたからです。
でも彼女は辞めなかった。
腐ることも抵抗もしませんでした。 むしろ業務を知らない同期の上司を完璧にサポートし始めたんです。
「この業務を回せるのは私しかいない」という事実だけを武器に淡々と仕事をこなす。
結果どうなったか? 上司である同期はAさんにお伺いを立てないと何も判断できなくなりました。
実質的な主導権を握ったのは降格させられたはずのAさんだったのです。
彼女は後にこう笑って言いました。
「会社や上司の思惑通りに動くの悔しいじゃないですか。利用できる場所があるうちは利用してやろうと思って」
しびれましたね。 「サイン」が出たからといって、すごすごと引き下がる必要なんてない。
その環境を逆手にとって、したたかに生き残る。そんな選択肢だってあるんです。
焦らないで!今すべき「自己防衛」

もし、あなたが今「辞めてほしいサイン」を感じているとしても 焦ってすぐに「辞めます」と言う必要はありません。
まずは深呼吸。そして自分の身を守るための「準備」を始めてみてはいかがでしょうか。
① 何はともあれ「証拠」を残す これ最強の武器です。
- 上司から言われた酷い言葉(日時と内容をメモ)
- 無視されたメール、不当な評価シートのコピー
- 「仕事を与えられなかった時間」の記録 いざという時、これがあれば「不当な扱い」を証明できます。
② 「辞める」か「残る」か自分で決める。 会社の意図なんて関係ありません。主役はあなたです。
- 戦う・残る道: Aさんのように不当な扱いを跳ね返す。改善計画をこちらから提案して相手を黙らせる。
- 去る道: 「こんな会社こっちから願い下げ」と割り切る。水面下で転職活動を始め次が決まった瞬間に笑顔でサヨナラする。
どちらを選んでも正解。 大切なのは会社に追い込まれて選ぶのではなく「自分で選ぶ」こと。
もしも判断に迷ってしまったらこちらの記事を参考にしてみてください。
さいごに

自分という存在を否定されているようで心が削られるような感覚。痛いほどわかります。
でも忘れないでください。 会社の評価=あなたの価値ではありません。
ひとつの会社で「辞めてくれないかな」という扱いをされたとしてもそれは会社のマネジメント不足なだけ。
Aさんのように戦ってもいいし、もっとあなたを大切にしてくれる場所へ移ってもいい。 選択権は会社ではなく、あなたが持っているのですから。
最近、話題の「静かな退職」という選択肢もあります。会社を辞めるわけではなく昇進や昇給を積極的に追い求めず与えられた最小限の仕事だけをこなす。
賢くしたたかに自分のエネルギーを温存しながら会社に利用されるのではなく会社を利用する生き方もありです!


