セクハラって誰でも気をつけないと知らず知らずのうちに被害者にも加害者にもなってしまうかもしれません。
「あれ?この言い方セクハラじゃないよね?で大丈夫かな」「相手の気持ちを傷つけちゃわないかな」って職場で考えることありますよね。
とくに注意が必要なのが「グレーゾーン」と呼ばれる微妙な言動。ちょっとした言葉や行動でも受け取る人によっては心が傷つくことがあるんです。
この記事では職場でよくある「セクハラのグレーゾーン」について具体的な例を使って分かりやすく説明します。言う側も言われる側もお互いを思いやるためのヒントを見つけていただければと思います。

グレーゾーンはどうして起きるの?

セクハラのグレーゾーンが生まれる理由は実はとてもシンプル。それは人によって感じ方が違うからです。たとえば、ある人が「冗談のつもり」で言った言葉でも聞いた人が不快に感じることがあります。
セクハラかどうかの判断は主に3つの要因で変わってきます
- 個人の感じ方の違い:同じ言葉でも人によって受け取り方が違う
- 会社や業界による違い:職場によって「これはOK/NG」の基準が違う
- 時代による変化:昔は問題なかったことでも今はセクハラとされる
このように何がセクハラになるかは状況によって変わるため、はっきりとした線引きが難しいから「グレーゾーン」と呼ばれる微妙な領域が出てくるのです。
セクハラグレーゾーンに潜む危険性

セクハラのグレーゾーンは見過ごしやすい問題。ちょっとした冗談のつもりでも相手を傷つけてしまうことがあります。とくに深刻なのは多くの被害者が誰にも相談できない状況。
上司と部下の関係では冗談のつもりの言葉でも相手を深く傷つけたり「仕返しされるかも」という不安から報告を躊躇したり。
さらに心配なのは、このような状況が続くことで被害者の心身の悲鳴や組織全体に重大な影響が及ぶ可能性があること。
一見、些細に見える言動でも個人の心の健康から会社の存続までは大きな影響を及ぼすかもしれないのです。
職場のハラスメントを放置したらどんなリスクがあるのかはこちらの記事で詳しく解説しています。
「それセクハラかも?」グレーゾーンの具体例13選

職場でふと発した言葉や行動が相手を不快にさせてしまうことありますよね。セクハラは意図的に行うものとは限りません。
誰もがうっかり加害者になってしまう可能性があるからこそグレーゾーンの具体例を知っておくことが大切。
- 見た目に関する発言
- 年齢に関する言及
- プライベートに関する質問
- 体への接触
- 仕事の教え方
- 冗談や言い間違い
- メッセージのやり取り
- 食事の誘い方
- 飲み会での発言
- 差別的な発言
- うわさ話
- 相手の呼び方
- プライベートな話題
見た目に関する発言
褒め言葉のつもりでも要注意
「髪型変えた?似合ってるね」「今日のメイク、いつもと違う!」「その服、素敵だね」
このような発言は褒め言葉のようで相手に不快感を与える可能性があります。「外見のことばかり見ているのかな」「容姿で判断されている」と感じる人もいるかもしれません。
特にこんなケースはNG
- 体型や容姿を具体的に評価する発言(「痩せたね」「太ったね」など)
- 年齢に触れる発言(「若いね」「老けたね」など)
- 性的な発言(「色っぽいね」「ドキッとする」など)
年齢に関する言及
年齢はデリケートな話題
「若い子たちに任せよう」「〇〇さんは若いから」
年齢に関する発言は相手にプレッシャーを与えたり差別的な印象を与えることがあります。特に女性は年齢の話に敏感な傾向があるので注意が必要です。
こんなケースはNG
- 年齢を理由に能力を判断する発言
- 年齢をからかうような発言
- 若さを過度に褒める発言
プライベートに関する質問
立ち入りすぎた質問はNG
「彼氏・彼女はいるの?」「結婚はまだ?」「子どもは?」
恋愛や結婚、家族計画などプライベートな質問はセクハラにあたる可能性があります。相手が話したくないことを無理に聞き出すのはやめましょう。
こんなケースはNG
- 相手が明らかに困っているのに質問を続ける
- 噂話や詮索をする
- プライベートな情報をSNSなどで公開する
体への接触
ボディタッチは慎重に
肩をポンと叩いたり手を握ったりする行為は相手に不快感を与えることがあります。とくに異性間や上下関係のある相手には十分な配慮が必要です。
こんなケースはNG
- 相手の意思を確認せずに触れる
- 相手が嫌がっているのに触り続ける
- 腰や肩など敏感な部位に触れる
仕事の教え方
指導とセクハラの境界線
仕事を教える際に相手の身体に触れたり性的な発言をしたりするのはセクハラです。また人格否定や差別的な発言もパワハラにあたります。
特にこんなケースはNG
- 必要以上に体を近づける
- 指導中に性的な冗談を言う
- 能力を否定するような発言をする
冗談や言い間違い
笑えない冗談はセクハラ
「冗談のつもりだった」「言い間違いだよ」
たとえ冗談や言い間違いでも相手が不快に感じればセクハラになる可能性があります。性的な内容や差別的な内容は絶対に避けるべきです。
こんなケースはNG
- 下ネタや性的ジョーク
- 外見や年齢をからかう冗談
- 差別的な言葉や偏見に基づく発言

メッセージのやり取り
仕事以外のメッセージは控える
職場の人に個人的なメッセージを送る際は内容に注意が必要です。特に性的な内容や個人的な感情を伝えるメッセージはセクハラにあたる可能性があります。
こんなケースはNG
- 仕事に関係のないメッセージを送る
- 相手が返信しないのに何度もメッセージを送る
- 深夜や休日にメッセージを送る
食事の誘い方
相手の気持ちを尊重する
職場の人を食事に誘う際は相手の気持ちを尊重することが大切。無理強いしたり何度も誘ったりするのは避けましょう。
こんなケースはNG
- 相手が断っているのに誘い続ける
- 深夜の食事や飲みに誘う
- 特別扱いを匂わせる誘い方をする
飲み会での発言
酔っていても注意は必要
お酒が入ると気が緩みがちですが飲み会でもセクハラに注意が必要です。とくに性的な話題や恋愛話は相手を不快にさせる可能性があります。
こんなケースはNG
- 性的な話題や下ネタ
- 恋愛関係の噂話
- 男女差別的な発言
差別的な発言
誰もが気持ちよく働ける職場に
年齢、性別、外見などあらゆる差別的な発言は許されません。相手を傷つけるだけでなく職場環境を悪化させる原因になります。
こんなケースはNG
- 特定の属性の人を見下す発言
- 差別的な言葉や表現を使う
- 過去の差別的な行為を正当化する発言
うわさ話
根拠のない噂は流さない
職場で他の人の噂話をするのはやめましょう。特に性的な噂やプライベートな情報は相手を深く傷つける可能性があります。
こんなケースはNG
- 他人の恋愛関係に関する噂を流す
- 噂話を広める
- 噂を元に相手をからかう
相手の呼び方
敬意を払って呼ぶ
相手を呼ぶときは「〇〇さん」と呼ぶのが基本です。親しみを込めたつもりでも相手が不快に感じる呼び方は避けましょう。
こんなケースはNG
- 年齢や外見で人を判断する呼び方
- 「ちゃん」「くん」付けで呼ぶ
プライベートな話題
仕事の場では控える
職場では親しくない限りプライベートな話題はできるだけ控えましょう。とくに個人的な情報はセクハラにあたる可能性があります。
こんなケースはNG
- 自分の性体験や性癖を話す
- 相手の性生活について質問する
- 性的な冗談や下ネタを言う
セクハラのグレーゾーンを見分けるポイント

セクハラのグレーゾーンは多くの人が「これは大丈夫なのか」「これは不適切なのか」と判断に迷う微妙な領域です。特に職場では、コミュニケーションの中で意図せずにセクハラと受け取られる可能性のある言動が存在します。
そこで、具体的な判断基準やポイントについて、実際の事例を交えながら詳しく見ていきましょう。
相手の気持ちを傷つけたか・傷ついたか
セクハラかどうかの最大の判断基準
セクハラかどうかを判断する一番大切なポイントは相手が「嫌だな」と感じたかどうか。たとえ悪気がなくても、相手が不快に感じたらセクハラになる可能性があります。
客観的な視点も重要
「普通の人が見て嫌だなと感じるような行動なのか」も判断の目安になります。主観的な判断だけでなく客観的な視点も取り入れることでより適切な判断ができるでしょう。
場所や関係性による判断
立場や親密度によって変わる可能性も
セクハラかどうかの判断は場所や人間関係によって変わることがあります。
たとえば、仲の良い友達同士なら問題ない冗談でも上司と部下のような立場の違いでは不適切になることもあります。
訴えられた場合は関係性が重要な判断材料に
仮にセクハラで訴えられたときは関係性が大きな判断材料になります。親密な関係であるほどセクハラと認定されにくい傾向があるようです。
職場でのセクハラを防ぐために注意すべきポイント

職場のセクハラ防止のための基本的な心得と気をつけるポイントを説明します
言葉遣いや態度への意識
相手を尊重する言葉を選ぶ
セクハラを防ぐには、毎日の言葉遣いや態度に気をつけることが大切です。とくに気をつけたいのは相手の性別や見た目についての発言。冗談のつもりでも相手を傷つける可能性があります。
具体例
一見すると褒め言葉や軽い会話のように思えますが相手によっては不快に感じる可能性があります。
職場では丁寧な言葉遣いを心がける
職場では相手を大切にする言葉を使い軽い気持ちでの発言は控えましょう。「その服似合ってますね」など見た目を褒めるときも相手が嫌な気持ちになるかもしれないので注意が必要です。
相手の気持ちを想像する
想像力を働かせる
相手の気持ちを考えることはセクハラを防ぐ大切なポイントです。自分の言葉や行動が相手をどんな気持ちにさせるか立ち止まって考えてみましょう。そうすることで気づかないうちにしてしまうセクハラを防ぐことができます。
多様な価値観を理解する
相手の人生経験や考え方は人それぞれ違います。相手のことをよく理解しようと努めることでお互いに気持ちの良い関係を築くことができます。
曖昧な言動は避ける
誤解を招く言動はしない
はっきりしない言動や態度はセクハラかどうか判断が難しい状況を作ってしまいます。「冗談のつもり」で言った言葉や軽く体に触れる行為も相手によっては不快に感じます。
具体例
職場では明確なコミュニケーションを
職場では「相手に誤解を与えないようはっきりと分かりやすく話す」「仕事場にふさわしいきちんとした態度を保つ」の2つを心がけましょう。
「セクハラかな?」と悩んだら相談できる窓口

セクハラで悩んだときは相談窓口を利用しましょう。社内の窓口、外部の窓口などいろいろな選択肢があります。
社内のセクハラ相談窓口
会社がセクハラの相談を受けたら被害が広がらないように対策を取らなければいけません。また、セクハラの相談をしたことを理由に、会社が解雇したり不利な扱いをしたりすることは法律で禁止されています。
会社社内や労働組合に相談窓口がない
相談相談したけれど取り合ってくれない
会社に相談すると不利益がありそうでなかなか相談できない。
そんなときは社外の相談窓口を利用しましょう。
部下からセクハラ相談を受けたけどどう扱っていいのか不安という方はこちらの記事をご覧ください。
【体験談】セクハラをしてしまう人の共通点

セクハラする人には共通点があるんです。人の気持ちに気づくのが苦手な人が多いんです。それにすごく優しい人なのに、うっかり相手の気持ちや距離感を間違えてしまう人。あとは相手が嫌な顔してても気づかなかったり。
よくある例でいうと「きっと相手も私のこと気に入ってくれてるでしょ?」とか「まぁこのくらいなら平気かな」みたいな勝手な思い込みで知らないうちに相手の心にどんどん侵入していくタイプ。
しかも自分がセクハラしてるって全然気づいてない人も多くて。相手が嫌な顔しても「冗談だよ!」「仲良くなりたいだけなのに」なんて言ってそのまま続ける人も。人の感情に鈍い人がよく訴えられます。
さいごに

セクハラは必ずしも意図的に行われるものではありません。むしろ日常的な会話や何気ない行動の中で気づかないうちに相手を傷つけてしまう。
グレーゾーンの具体例を知って「相手から好かれている」という思い込みを捨てて「相手がどのように感じるか」を意識するだけで、だいぶセクハラを防ぐことができるのではと思います。