最近、フジテレビに関するトラブルが話題ですね。職場で部下からハラスメントの相談を受けることは、どの上司にも起こりうること。
とくに女性社員は女性上司に相談することが多く部下からの相談を受けた際の対応について戸惑いますよね。
そこで部下からのセクハラ相談への対応方法を6つのステップでお伝えします。

性別や役職に関係なく、すべての管理職に役立つ情報ですのでぜひ活用してください。
上司が知っておくべきセクハラ相談への6つの対応ステップ

セクハラ相談への対応方法を6つのステップで解説していきます。
どのステップもすぐに実践できる内容です。上司として必要な対応方法をすべて網羅しているので順番に実践すればセクハラ相談に自信を持って対応できるようになります。
まずは話を最後まで聞く
相談を受けたら落ち着いて最後まで話を聞きましょう。部下は不安な気持ちで相談してきているので途中で遮らずゆっくりと耳を傾けることが大切。
話を聞くときは、うなずいたり「なるほど」などの相づちを打ったりして相手の気持ちに寄り添う姿勢を見せましょう。
また、人目を気にせず安心して話せる場所を選ぶなど話しやすい環境を整えることも重要。
事実関係を冷静に確認する
相手の話をよく聞きながら具体的な情報を確認しましょう。
話を聞きながらメモを取って正確に記録することが大切。感情的にならず冷静に事実を確認することでその後の対応がスムーズに。
相手を追い詰めるような質問は避け相談者のペースに合わせてゆっくりと確認を進めましょう。
秘密を守る
相談内容は必ず秘密にしましょう。これは相談者との信頼関係を保つために最も大切。セクハラの相談はとくに慎重に扱う必要があります。
相談してくれた部下は話した内容が他の人に知られることをとても心配しています。その不安を和らげるために上司として「必ず秘密を守る」と約束しましょう。
ただし問題解決のために会社として対応を検討する必要があり伝える必要があることも丁寧に説明して本人の承諾を得ることが重要。
まず本人がどのような解決を望んでいるのかをよく確認し報告の範囲について承諾を得ましょう。これは行政機関でも必須とされています。
この「本人の意向確認」のステップが抜け落ちるとフジテレビのように「会社側は誠意を尽くした」つもりでも被害者の気持ちを無視した対応となり不満を招く結果となってしまいます。
これは相談者との信頼関係を保つために最も大切なことです。
直属の上司に報告する
ここからが重要なステップです。まず直属の上司に状況を報告しましょう。最終的には経営陣にも報告が必要ですが焦る必要はありません。このとき次の3つのポイントに気をつけてください。
会社には「職場におけるハラスメントの防止に関する規定」「懲戒規定」があるはず。この決まりには主に2つの大切な内容が含まれています
これらの決まりに従えば誰にとっても分かりやすく公平な対応ができます。
ただし直属の上司だけの判断で決めるのはよくありません。上司の対応に不安を感じたらすぐに人事部門や経営層に相談することをおすすめします。
被害者のケアを最優先
まずは相談者の話をよく聞き、安心できる環境を作ること。症状の深刻度については産業医やカウンセラーなど必ず専門家の診断を受けてもらいましょう。
ただしカウンセリングをすすめる際は相談者の気持ちを考えて適切なタイミングで提案するのがおすすめ。
専門家に相談者の状態を診てもらい必要な場合は「休暇を取ってもらう」「仕事の内容を調整する」などの支援を検討します。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性もあるので短期的な対応だけでなく長期的なケアも考えておく必要があります。
社内コンプライアンス部門から専門機関に相談する
セクハラ問題は難しい案件なのでいずれ会社として外部の専門家に相談することになると思います。
弁護士や労働局に相談すれば法律の専門家として適切なアドバイスをくれます。似たような問題への対応経験も豊富なので安心。
社内だけで解決するのが不安な時はこうした外部の専門家に意見を聞くことで、より公平な解決方法を見つけやすくなります。
上司が陥りやすい5つの誤解と正しい対処法

上司がセクハラ相談を受けたとき、経験が少なかったり知識が不安な方でも以下で説明する基本的なポイントを押さえれば適切な対応ができるようになります。
上司が陥りやすい5つの誤解
「まさか」という心理
身近な人から加害者として名前が出てきたとき多くの上司は「まさか」「信じられない」と思ってしまいます。
とくに普段から一緒に仕事をしている人物の場合、その人の日頃の様子を知っているだけにセクハラをするはずがないと思いがちです。
でも、そういった個人的な印象や感情は置いてまずは被害者の話をしっかり聞き、その声を信じることが大切。そのうえで何があったのかを冷静に確認していきましょう。
「大げさすぎるのでは?」という疑問
セクハラの相談を受けたとき「大げさに反応しているのでは?」と考えてしまうことがあります。
被害者は本当に怖い思いや辛い思いをしているのです。相談してきた人は勇気を出して話してくれています。だからこそ、その気持ちをしっかり受け止めてあげてください。
大切なのは次の3つ
- 相手の立場に立つ
- 親身に話を聞く
- 共感する姿勢を見せる
具体的には「つらかったね」「話してくれてありがとう」といった言葉をかけることで相談者との信頼関係を築くことができます。
「会社に迷惑がかかる」という不安
セクハラ問題を隠したり被害者の訴えを無視したりすることは会社に大きな損害を与えます。むしろ問題に正直に向き合い適切な対応をすることで会社の信頼を守ることができるでしょう。
大切なことは3つ
- すぐに対応すること
- 会社のルールに従って公平に対処すること
- 同じ問題が起きないよう防止策を考えること
このように前向きに取り組むことで誰もが安心して働ける職場を作ることができます。
「どう対応すれば良いかわからない」という困惑
対応の仕方が分からなくて困るのはあたり前のこと。経験が少なかったり知識が足りなかったりすると不安になりますよね。
ひとりで悩まないことが大切。周りの力を借りることで問題を適切に解決する方法が見えてきます。
「責任を避けたい」という気持ち
「責任を取りたくない」「批判されたくない」という気持ちから問題を無視したり後回しにすることがあります。
でも、そうやって問題から逃げるとかえって事態は悪化し会社全体に悪影響が出てしまいます。
上司には問題解決の責任があります。次の2つのことを心がけましょう
- すぐに行動を起こす
- 必要なら人事部など他の部署に相談する
このように、積極的に問題に向き合うことで適切な解決方法が見つかります。
上司がセクハラ問題に適切に対応するために

セクハラ問題に上手く対応するには3つのポイントがあります。
- セクハラ防止についての基本的な知識を学ぶ
- 最新の法律や事例を把握しておく
- 普段から部下と定期的に話す機会を持つ
厚労省サイトで裁判所の判例から15種類のハラスメント事例が紹介されています。
会社の責任が問われたケースやセクハラ事例を通じてどのような行為が具体的に問題とされ、会社や加害者がどのような責任を負うことになったのかが分かります。
ハラスメントについて学びたい方のために役立つ本も紹介させていただきます。
フジテレビのケースを教訓に

フジテレビのケースを見てみましょう。ある女性社員が社外の人から被害を受け上司に相談。しかし女性上司を含む上層部は励ましの言葉をかけただけで実際の対策を何も取りませんでした。
会社側は「被害者の健康状態を最優先に考えた」と言い訳しましたが、なぜ加害者の調査をしなかったのかについては答えを避けました。このように会社が部下を守るための具体的な行動を取らなかったため世間から強い批判を受けることに。
一方で「部下からセクハラの相談を受けたとき、どう対応すればいいのか本当に難しい」と女性上司への理解を示す声もあります。
管理職のみなさんならきっとわかる板挟み状態。この事例から私たちが学ぶべき重要な教訓があります。
セクハラ相談を受けた際は「優しい言葉」だけでなく具体的な行動を起こすこと。被害者の体調を気遣うことはもちろん大切ですが、それだけでは問題の根本的な解決にはなりません。
上司として以下のような具体的な対応が求められます
このように問題から目を背けずに積極的に向き合うことで誰もが安心して働ける職場環境を作ることができます。
企業のハラスメントを見過ごす文化が社会問題として注目され、今回のフジテレビの事例もその一つ。職場でハラスメントを目撃しても対応できない状況は深刻な問題です。ハラスメント放置のリスクについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
さいごに

最近はハラスメントへの適切な対応が会社の健全な運営には本当に大切になってきてますよね。一部の部署だけでなく会社全体で取り組む必要があります。
解決のためには人事部、経営陣、外部の専門家と力を合わせて取り組んでください。