その「辞める」の決断、一度だけ保留にしませんか?

朝6時に起きて保育園の準備をして電車に飛び乗って。
時短だからと巻きで仕事を片付けてダッシュでお迎え。ごはん作ってお風呂入れて寝かしつけて…
気づいたら自分の時間なんて1秒もないまま1日が終わってる。
「時短勤務」って勤務時間が短くなっただけで心も体も全然「時短」できていない。
むしろ短い時間で成果を出さなきゃというプレッシャーが、じわじわと首を絞めてくる。
わたしは15年間、企業の人事として働いてきました。その中で300人以上のワーママの相談を受けてきたんです。
面談室のドアを開けた瞬間、目が真っ赤な人。座った途端に涙があふれる人。
そして決まってこう言うんです。「もう…辞めたいんです」
その気持ちは痛いほどわかります。でも働く人たちの相談対応をしてきたからこそ、ひとつだけ伝えたいことがあるんです。
感情がマイナスに振り切っているときの決断は高い確率で後悔を連れてくる。
辞める決断そのものが悪いわけじゃない。ただ「今」じゃないかもしれない。まずは心を「平熱」に戻すこと。それが先なんです。
人事として伝えたい「時短勤務の罠」と心の摩耗

時短勤務の何がしんどいって仕事量は減らないのに時間だけが減ること。
これに尽きます。フルタイムの同僚と同じ会議に出て同じ資料を作って、でも「お先に失礼します」と言って帰る。
あの瞬間の罪悪感、経験した人にしかわからないですよね。「申し訳ありません」が口癖になっていませんか。真面目で責任感の強い人ほど、この罠にはまります。
周囲に迷惑をかけたくないから昼休みを削って仕事をする。時短なのに実質フルタイム以上に働いている。
わたしが人事の現場で見てきた「心が壊れる一歩手前のサイン」は、こんな状態でした。
もし今、ひとつでも当てはまるなら「心のメンテナンス」として今、置かれている場所から意識を切り離してほしいんです。
たった数時間でいい。自分を「誰かのママ」でも「誰かの部下」でもない、ただの一人の人間に戻す時間。
ハードルの高い「宿泊」より数時間の「名もなき景色」を

「旅に出よう」なんて言うつもりはありません。そんな余裕ないですよね。1泊2日の旅行なんて子どもの預け先、家族との調整仕……考えるだけで疲れる。リフレッシュのはずが準備だけで消耗してしまう。
だから、わたしが提案したいのは日帰り旅。しかも有名な観光スポットをあえて外す。
名前も知らないような静かな田舎町をひとりで訪れる
人混みに行くと無意識のうちに普段の日常と同じモードになってしまい結局リラックスできません。
でも誰もいない場所なら誰の役も演じなくていい。風の音、鳥の声、自然が織りなすかすかな気配。
そういう「自分の中の音」を聴く時間が摩耗した心をほどいてくれるんです。
東北に暮らしてわかった心がほどける田舎時間の過ごし方
東京から東北へ帰省する新幹線の中で、わたしは静かに泣いていました。仕事に追われて息をするのも忘れていたような毎日。
朝から晩までパソコンに向かい人の悩みを聞き気づけば自分のことは全部あと回し。
「少し休みなさい」と言ってくれたのは車窓の向こうに広がる田んぼと山々だったんです。
ビルの隙間から覗くだけだった空が、ここではどこまでも続いている。その景色に包まれた瞬間、張り詰めていた何かがふっとほどけて涙が止まらなくなりました。
田舎の風景は何も言わずにそばにいてくれる人みたい
わたしは今、東北に暮らしています。仕事帰り夕日がオレンジ色に染めるのを眺めるだけで「今日もがんばったな」と思える。
特別なことなんて何もいらない。ただ空の広さが、わたしを静かに癒してくれています。
だからこそ思うんです。毎日、仕事と育児の間で走り続けているワーママにこそ、この東北の「田舎時間」を届けたい。
キラキラした観光じゃなくていい。ただ、ぼんやりする。ただ、深呼吸する。それだけで自分を取り戻せる場所が東北にはある。
そんな、わたしが実際に暮らして見つけた「東北日帰り旅の過ごし方」を少しだけ提案させてください。
ローカル線を降りたら時間がゆっくり回りだした

ローカル線に揺られて聞いたこともない無人駅で降りてみる。改札なんてない。ホームに降り立つと風の音と鳥の声しか聞こえない。それだけで、もう別世界。
駅から続く一本道をなんとなく歩いていくと年季の入った看板が目に留まる。ガラス戸を引くとカランとベルが鳴る。
カウンターの奥でマスターが「いらっしゃい」と笑ってくれる。メニューはクリームソーダとナポリタンとホットケーキ。ここだけ時計の針がゆっくり回っている。

バッグの底に忍ばせておいた文庫本を開く。ふだん本なんてゆっくり読む時間はない。保育園のお迎え、夕飯の支度、寝かしつけ……。
でも今日だけは好きなページを好きなだけ読んでいい。コーヒーのおかわりを頼んで、もう一章。
キラキラしたおしゃれカフェじゃなく、むしろ昭和の空気がいい。まるで映画の中にタイムスリップしたみたいに、ここでは「何者でもない自分」に戻れるから。
「しなきゃ」が「したいな」に変わった帰り道
時間に追われない時間って、こういう感じだったっけ。スマホのアラームも保育園からの着信も上司からのチャットも気にしなくていい数時間。
「次は何しなきゃ」が頭の中から消えていく。空っぽになった頭で、ぼんやり窓の外を眺めているだけなのに、それがたまらなく心地いい。
予定のない時間が、元の自分を連れ戻してくれる。「わたしってこんなふうに笑うんだった」と思い出すみたいに。

でもね。ふと気がつくと心の中で「帰りに何かお土産買って帰ろうかな」と考えている自分がいる。
駅前で見かけた地元のお菓子、子どもが喜びそうだなとか。夫にはあの地酒がいいかなとか。
結局どこにいたって家族のことを考えてしまう。それがワーママの性分なのかもしれない。
でも、それを「しなきゃ」じゃなくて「したいな」と思えるのは、ちゃんと自分を休ませてあげた証拠。
もしも、お子さんを預ける調整ができて1泊のひとり旅が叶うなら予定は詰めずにノートと本だけ持って宿にこもっちゃいましょう。
「寒さ」は心の敵|地元民からの服装対策

ひとつだけ東北暮らしのわたしから大事なお願い。季節の変わり目の東北は想以上に寒い。春でも気温がひと桁の日は普通にあります。
せっかく心を癒やしに来たのに寒さに震えて「辛い旅行」になってしまったら意味がないですよね。
ポイントは「三層レイヤー」。肌着+中間着+防風アウターの3枚重ねで体温を守ること。体温を守ることは心を守ることと同じ。
東北旅行の服装については別の記事で詳しくまとめているので出発前にチェックしてみてください。
さいごに:平常心を取り戻したとき本当の答えが見えてくる

田舎の景色を眺める。温かいお茶を飲む。深呼吸する。それだけのことが、どれだけ贅沢か。
日々の忙しさの中にいると忘れてしまいます。でも、その「たった数時間」が、あなたの心を平熱に戻してくれる。
辞めるか続けるか。働き方を変えるか、このまま頑張るか。その答えは感情が暴風雨のときには絶対に見えません。
心が落ち着き冷静さを取り戻したとき初めて本当の答えが浮かんでくる。
わたしは人事として、たくさんの「辞めます」を聞いてきました。
その中には心が平熱に戻ってから決断して晴れやかに次のステージに進んだ人もたくさんいます。
逆に感情のまま辞めて「あのとき冷静だったら」と悔やむ人も見てきました。
心が平熱に戻ったら、そのとき初めて「これからの働き方」を考えましょう。
だから、まずは田舎の景色を見に行きませんか。どこを訪れましょうか。東北の魅力を知りたい方はこちらの「旅東北」「andtripたびびと」をチェックしてみてくださいね。
noteではワーママに向けたコラムを書いています。職場での立ち回り術、心を守るための考え方など、もっと詳しくお話ししているので、よかったら遊びに来てくださいね。

とりあえず今の状況をなんとかしたいという方はこちらの記事で詳しく解説してます。



