職場のハラスメントで悩んでいるとき「どうせ言っても無駄だし…」と諦めモードになっていませんか?
あなたの尊厳と未来を守る方法はちゃんとあります。そのカギになるのが「客観的な証拠」なんです。
この記事では私が実際に労働トラブルの相談対応や交渉、法的手続きに関わってきた経験をもとに、あなたの主張をしっかり裏付けてくれる証拠の集め方を詳しくお伝えしていきます。
証拠が一つでも多くあれば、それだけあなたを守る力になってくれます!

一人で戦う必要はありません。まずは自分を守るための知識を身につけ、できることから始めていきましょう。
まず押さえたい!証拠集めの3つの基本原則

やみくもに記録を残すのではなく効果的な証拠にするために3つのポイントを意識しましょう。
- 継続性:一度きりの記録よりも継続的に行われたハラスメントの記録の方が悪質性を証明しやすくなります。
- 客観性:あなたの感情(「悔しかった」「悲しかった」)だけでなく「いつ・どこで・誰が・何を・どのようにしたか」という5W1Hの事実を淡々と記録することが重要。
- 第三者性:あなた以外の第三者が見てもハラスメントの状況がわかるような証拠はとても強力。
パワハラ・セクハラの証拠を集める5つの具体的な方法

それでは具体的な証拠の集め方を5つご紹介します。一つだけでなく複数の方法を組み合わせることで証拠としての価値はさらに高まります。
方法1:録音【最も強力な暴言の証拠】
暴言や侮辱的な発言など「言った・言わない」の水掛け論になりやすい口頭でのハラスメントには「録音」が最も強力な証拠となります。
具体的なやり方
- ICレコーダーやスマホの録音アプリを使う:常に携帯し危険を感じたらすぐに録音を開始できるように準備しておきましょう。ペン型やUSBメモリ型のICレコーダーは相手に気づかれにくいという利点があります。
- 録音データの管理:録音したデータは「20251011_〇〇部長との面談.mp3」のように日付と状況がわかるファイル名で保存しPCやクラウドにバックアップを取りましょう。
パワハラの証拠集めで一番効果的なのがICレコーダーで録音すること。録音データって本当に強い味方になってくれるんです。
何度も「録音があったから解決できた」っていうケースを見てきました。ただ、どんなICレコーダーでもいいってわけじゃないんです。
職場で使うなら「小さくて目立たないこと」「音質がクリアではっきり声が聞き取れること」それと長時間録音できることがすごく大事。
ポケットやバッグにさりげなく入れておけるサイズ感で相手に気づかれずに自然に録音できます。
注意点
相手の同意なく会話を録音することは基本的には違法ではありません。
ただし、その録音データを本人の名誉を毀損する目的でネットに公開するなど不適切な使い方をすると問題になる可能性があります。
あくまで社内や公的機関、弁護士への相談など正当な目的のために使用しましょう。
方法2:日記・業務メモ【継続性を証明する証拠】
毎日の小さな嫌がらせや無視なども日記として記録し続けることで「継続的ないじめ」の証拠となります。
心身に不調が出た場合はその記録が労災認定や慰謝料請求の根拠にも。
記録すべき項目(5W1H+α)
- 日時:年月日と時間まで(例:2025年10月11日 15:30頃)
- 場所:(例:自席、会議室A、給湯室など)
- 加害者と第三者:誰が、他に誰がいたか
- 具体的な言動:「何を言われたか」「何をされたか」を具体的に(例:「こんな簡単なこともできないのか給料泥棒だ」と罵倒された)
- 心身への影響:その時の気持ち、頭痛、腹痛、不眠など(例:動悸がして、その夜は眠れなかった)
注意点
後から「改ざんした」と疑われないように手書きの場合は「消えないボールペンで書く」「PCの場合は作成・更新日時が記録されるファイルを使う」「毎日、自分宛にメールで送る」といった工夫が有効です。
方法3:メール・チャット・LINE【消せないテキスト証拠】
メールやビジネスチャット(Slack, チャットワーク、Microsoft Teamsなど)LINEでのハラスメントは発言がそのままテキストとして残るため客観性の高い証拠です。
具体的な保存方法
- メール:PCの画面ごと「スクリーンショットを撮る」「PDFで保存する」「紙に印刷する」などして保管。送信日時や宛先がわかる「ヘッダー情報」も一緒に保存するのがポイント。
- チャット・LINE:発言内容だけでなく「いつ」「誰が」言ったかがわかるように会話の前後関係も含めてスクリーンショットで撮影。長文の場合は画面をスクロールしながら複数枚撮影しましょう。
注意点
チャットのメッセージは後から編集・削除される可能性があります。
不適切な発言を見つけたらすぐに保存する癖をつけましょう。会社のPCから個人のスマホにデータを転送する際は会社のセキュリティポリシーに違反しないか注意が必要です。
方法4:写真・動画撮影【決定的な視覚的証拠】
物を投げつけられたり殴られたりといった身体的な攻撃やセクハラにおける不適切な身体接触などには動画や写真が決定的な証拠となり得ます。
具体的なやり方
- 自分のスマホで撮影:身の危険を感じる場面では難しいかもしれませんが可能であればスマホのカメラで記録しましょう。
- 第三者に依頼する:信頼できる同僚がいる場合、ハラスメントが行われている場面を客観的な位置から撮影してもらうことも有効です。ただし協力してくれた同僚に不利益が及ばないよう慎重に行う必要があります。
注意点
撮影行為が「盗撮」と見なされないようあくまでハラスメントの事実を記録するという正当な目的が必要です。
また会社の施設内での撮影が規則で禁止されている場合もあるためその点も事前に確認しましょう。
方法5:第三者の証言【客観性を補強する証拠】
ハラスメントの現場を目撃していた同僚やあなたが相談した相手の証言も証拠の客観性を高めるうえでとても重要です。
具体的なやり方
- 協力をお願いする:信頼できる同僚に事実を目撃した旨をメモに残してもらったり後の聴取に協力してもらえるようお願いしておきましょう。
- 相談記録を残す:同僚や上司に相談した場合は「いつ、誰に、何を相談し、相手がどう反応したか」を詳細に記録しておきます。これもあなたが行動を起こしていたことの証拠になります。
注意点
同僚に協力を求める際は、その人が会社から不利益な扱いを受けるリスクも考慮し決して無理強いはしないようにしましょう。
証拠が集まったら次のステップへ

証拠を整理できたらいよいよ行動に移す段階です。集めた証拠を武器に専門の窓口へ相談しましょう。
どこに相談すれば良いか迷っている方はこちらの記事が参考になります。
さいごに|証拠はあなたを守る最強の武器

今回はパワハラやセクハラの証拠を集める5つの具体的な方法をご紹介しました。
- 録音:暴言など「言った言わない」を防ぐ
- 日記・メモ:継続的ないじめを証明する
- メール・チャット:削除できない客観的なテキスト
- 写真・動画:暴力やセクハラ行為の決定的瞬間
- 第三者の証言:証拠の客観性を高める
ハラスメントの真っ只中で証拠を集めるのってとても辛いですよね。
でも今あなたが残すその記録一つひとつがこれから先のあなたを守ってくれます。
できることからでいいんです。あなたが今踏み出そうとしているその一歩は絶対に無駄なんかじゃありませんから。