旧ジャニーズの問題をきっかけに企業の「見て見ぬふり」文化が問題視されています。
目の前で誰かがパワハラやセクハラをされていたり上司が特定の人を無視していると気づいても何も行動を起こせない。
心の中に漂う不快感や見て見ぬふりをしている自分への罪悪感は、きっと辛いはず。
旧ジャニーズ会見で出てきた3つのワード
この記事では、旧ジャニーズ問題を教訓に職場のハラスメント放置リスクについて触れていきたいと思います。
はじめに
職場でパワハラやセクハラを見て見ぬふりをした人は自分を責める必要はありません。
見て見ぬふりをしている人も同罪だという人がいまが、この言葉には重要なメッセージが込められています。
目の前で起こっている問題を無視し続けることは問題が悪化する可能性があるということを示しているからです。
同じような行動をする人が増える可能性があり、見て見ぬふりをすることは容認されるべきではないのです。
だからこそ「見て見ぬふりをしている人も同罪だ」という言葉に耳を傾け、私たちができることを一緒に考えていきませんか。
「見て見ぬふり」が生み出すこと
見て見ぬふりをすると3つのリスクがあります。
具体的に説明していきます。
被害者への二次被害
ハラスメントを受けた被害者が我慢すると精神的、肉体的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。被害者は長期間にわたってストレスを抱え続け、心の健康問題が発生する可能性があります(うつ病や不眠症など)
職場の不安や恐怖感によって、仕事への意欲を失い辞めざるを得なくなることもあります。
被害者がもっとも傷つくことは、ハラスメントを受けているのに周囲からの助けがないと感じる孤立感や絶望感です。
加害者の増加
ハラスメントを放置することで加害者は自分は許されていると勘違いし、さらに悪質なハラスメントを繰り返す可能性があります。
ハラスメントが黙認されることで職場には「ハラスメントは許される」というメッセージが伝わります。
もし、問題を起こしている人が会社の中で優遇されている場合「こういうことをしても、この組織では問題がない」と思い同様の問題行動をする人が増えかねません。
職場環境の悪化
ハラスメントが、まん延する職場では社員同士の信頼関係が失われます。また、仕事の効率が下がるだけでなく職場の雰囲気も悪化します。
さらに、ハラスメントを恐れて社員が積極的に働けなくなるため組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼし優秀な人材も離れていきます。
なぜ見て見ぬふりをするのか
見て見ぬふりをする人の心理は、大きく以下の3つに分けられます。
責任の分散(誰かが行動してくれるだろう)
誰かが助けてくれるだろうと期待して自分自身が行動を起こしません。これは傍観者効果(ぼうかんしゃこうか)と呼ばれる心理現象で人が多い状況ほど見て見ぬふりをする人が増える傾向があります。
傍観者効果とは集団の中で他の人々の行動を観察する際に、自分自身が積極的に関与せずにいる心理現象です。緊急の状況や困難な状態の時に現れます。
危険回避(関わりたくない・自己保持)
自分が助けに入ったことで自身が危険にさらされる可能性があると考えることです。たとえば、いじめの現場に割って入ることで自分自身がいじめの標的になる可能性を恐れる場合などが考えられます。
無関心(自分ごととして捉えられない)
他者のことに興味や関心がなく助けを必要としていることに気づかない、または気づいても助けようと思わないことです。たとえば、他人の不幸や苦しみを自分のこととして捉えることができず心が動かされない場合などが考えられます。
得体の知れない空気・触れてはいけないものとは?
「なんだか得体の知れない、それには触れてはいけない空気があった」
この発言が意味することは、組織の中で影響力のある人物が、やがて巨大な「権力者」に変貌して誰も何も言えない状況が生まれることです。その存在は真の姿や正体がわからない何かを指しています。
一般企業でもあり得る話ですよね。たとえば、部署のリーダーがこのような人物だった場合「あの人はパワハラしているけど成績もいいし昇進もしているから、これくらいはいいんだ」など問題行動をしても良いのだと思わせてしまいます。
部下は、嫌われないために我慢しようという意識が働き、やがて大勢が黙認してしまう。ジャニーズ問題をきっかけに黙認・見て見ぬふりは恐ろしい結果を招くことを改めて考えさせられました。
わたしたちが心がけること
すぐにできることを3つ紹介します。
- ハラスメントの知識を身につける
- 職場内の会話や会議の様子に関心を持つ
- 被害者を支援する
ハラスメントの知識を身につける
ハラスメントの種類を理解し、兆候やパターンに気づくことは重要です。もし遭遇した場合でも適切な対処方法を知ることで、何をするべきかすぐ考えが浮かぶようになります。
職場内の会話や会議の様子に関心を持つ
職場のコミュニケーションや会議の中で異変や不適切な態度がないか、注意深く観察しましょう。ハラスメントの防止には、目の前で起こっている問題に敏感になり関心を持つことが重要です。
被害者に声をかける
被害者が不快な状況に直面している場合、私たちは積極的にサポートを提供する必要があります。まずは声をかけてあげてください。本人は深く傷つき落ち込んでいて冷静な状態ではないはずです。同時に証拠の収集や関係者への適切な処置などもサポートしましょう。
職場のハラスメントについてまとめた記事です。
職場のパワハラ・セクハラ・無視など実際に起こった事例を交えながら法律や対処法を解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。
小さな変化を起こす
正義感を振りかざしてドラマの主人公のように立ち向かえたら苦労しませんよね。パワハラ上司のいる職場で変化を起こす方法は、以下の手段を検討してみてください。
- 経営陣や人事と気さくに話せる人を利用する
- ウワサ好きな人に実態を広めてもらう
- 共感する人を集める
- 集団で行動する
経営陣や人事と気さくに話せる人を利用する
職場でハラスメントが起きていることを会社の責任部署の耳に入れる必要があります。正論を言えば社内の相談窓口に相談してくださいと言いたいところですが企業には社員が相談しない「相談窓口」が多くあります。
そこでまずは、経営層や人事と気さくに話せる人を探しましょう。
現場で発生しているハラスメントの具体的な内容や被害者の状況を伝え、問題の深刻さを認識してもらいます。切迫感があるとなお効果的です。
ウワサ好きな人に実態を広めてもらう
職場にひとりはいそうなウワサ話が大好きな人。なぜか、他の部署の知り合いが多い人。申し訳ないですが活躍してもらいましょう。
ウワサ好きな人は情報を広める力を持っています。ハラスメントの問題を伝え自然に広く周知させましょう。ウワサによって職場全体にハラスメントの問題意識を高めることができます。
共感する人を集める
ハラスメントの問題を解決するためには、共感する人を集めることが重要です。共感する人を集めるためにハラスメントに関心を持つ人々と積極的にコミュニケーションをとりましょう。
立ち話や食事、ランチなどで意見交換や情報共有を通じてハラスメントに対する共通認識を育てていきます。職場からハラスメントを撲滅するという体制(味方)をちょっとずつ構築していきましょう。
集団で行動する
ハラスメントの問題を解決するためには、個々の行動だけでは限界があります。同僚や仲間と連携し集団で行動することで改善できます。
具体的な行動としては、ハラスメントを目撃した場合には一緒に声を上げたり、被害者をサポートします。また、組織に対して要望や提案をすることも考えられます。
集団で行動することでハラスメントに立ち向かう姿勢を組織に示すことができます。
小さな一歩かもしれませんが、さまざまなアプローチを組み合わせることでパワハラ上司のいる職場に変化を起こすことができるでしょう。
まずは周囲の人々と協力しながら改善を進めてみませんか。
さいごに
得体の知れない空気に変化を起こすことは、とても勇気のいることですよね。周囲の人々を巻き込んで改善していくことは、さらに難しいことです。
でも、ひとりの小さな行動は大きな変化をもたらす力を持っています。ハラスメントを目の当たりにした場合は声を上げることが重要です。沈黙しているだけでは問題は解決しません。
勇気を持って周囲を巻き込みながら異議を唱えましょう。そしてパワハラを受けた人を孤立させないようにサポートできたらいいですね。