最近、異常気象で線状降水帯や豪雨による水害が多くなりましたね。地震の備えはしているけれど水害対策ってしていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、水害を経験したことがある私が本当に役立つ備えと避難行動についてお伝えします。大雨による水害を体験してして分かったことは水害対策として最も重要なことは日頃からの備えでした。
この経験をお伝えすることで自分ごととして防災意識を高めていただけたらと思います。
はじめに:わたしが経験した秋田市内の水害
2023年7月中旬、秋田市は記録的な大雨で広範囲に街が冠水しました。
まさか市街地が水害に遭うなんて…
正直、驚きでした。
市街地の被害理由は、専門家によると長時間、雨が降り続く「線状降水帯」の影響で川の氾濫ばかりではなく下水道や側溝があふれる内水氾濫が浸水の大きな要因だった可能性があると分析しています。
内水氾濫って初めて聞いたんですけど…
内水氾濫とは
市街地などに短時間で局地的な大雨が降ると下水道や排水路が水をさばききれなくなり溢れだした雨水が建物や土地、道路に浸水すること
線状降水帯の影響で川が氾濫し、さらに内水氾濫も発生。
今後、どこでも起こりうる自然災害です。
水害に備えて良かったこと・後悔したこと
市街地に住んでいるから「水害はありえない」という思い込みで地震の備えだけしていました。これまで水害のリスクが低かった地域でも被害が出るようになっています。
この経験は「水害はありえない」という思い込みを覆すものでした。地震に対する備えだけでなく、水害に対する備えも考えるべきという新たな認識を与えてくれました。
それでは、詳しく解説していきます。
良かったこと:非常食・飲料水・生活水の備え
今回の災害で水が、どれだけ生活に欠かせないものか改めて実感しました。調理用と飲料用、洗濯やトイレなどで使用する生活水の備えは、やはり重要です。
普段から地震に備えて非常食や水は準備していたので被災後の生活への影響はありませんでした。
ポータル電源とカセットコンロは必須ですね
良かったこと:避難場所や避難経路を確認
こちらも既にチェックされている方が多いと思いますが国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で自宅周辺の状況を確認しておくことをおすすめします。
でも実際に役に立ったツールは…
NHKをつけながらGoogleマップと河川ライブカメラ、Twitterを見てました
災害時は食料調達の方法や避難経路を確認することが重要ですが情報が不足していたり古くなっていたりすることがよくあります。
Googleマップはリアルタイムで川の氾濫危険度や通行禁止区域を表示してくれてとても役に立ちました!
それと…住民同士でTwitterで被害状況、道路や店舗の情報など発信し合い家にいても秋田県内のリアルな様子を把握することができました。地域で支え合った感覚があり感動。
良かったこと:避難時に持ち出すものは1箇所にまとめていた
持ち出す物を避難用のリュックに入れてしまうと普段、使うときに取り出すのがめんどうですよね。1箇所にまとめて玄関近くにリュックを置いていました。家の中をウロウロせず効率良く準備できました。
良かったこと:大事な書類や機密機器は高い場所へ移動
避難する前に、パソコンなどの機密機器は高いところに移動。被害を少しでも減らすために、アルバムや貴重品、大事な物は2階や棚の上などの高い場所に移動することをおすすめします。
後悔したこと:自宅や周辺の危険な場所の点検
土砂災害も想定し自宅周辺の水が侵入しそうな箇所をチェック。必要に応じて修復や防災アイテムの用意をおすすめします。
後悔したこと:災害時のトイレに注意!
大雨時に下水道管内の空気が押し出され、家の排水口から水が噴き出ました。
ビニール袋に水を入れた水のうを便器内や排水口の上に置くと下水の逆流を抑えることができます。
トイレ・水回りの逆流を防ぐ方法
後悔したこと:排水路の確保(落ち葉やゴミの処理)
雨の日に流れ具合を点検して枯葉やゴミが詰まっていたら掃除をしておくことをおすすめ。排水路が流れないと地上に水が溢れ出します。
後悔したこと:土嚢、ブルーシート、雨具を用意していなかった
道路や山の斜面でよく見かける土嚢ですが自分が購入するなんて想像もしなかったです。
テレビの事件事故のニュースでよく見るブルーシート。雨具はおしゃれなレインコートしか持ってない。防災用を購入する意識が低すぎて反省。
雪国なので長靴を持っていたことが救いでした。長靴がなければ道路の水が引くまで外を歩けませんでしたから。今回の体験で土嚢、ブルーシート、雨具は即、購入。
とくに1階に住んでいる方は、自然災害に備えて土嚢を用意しておくことをおすすめします。土嚢は雨水や洪水、地震などの災害による浸水を防ぐために非常に有効。土嚢を用意することで被害を最小限に抑えることができます。
後悔したこと:ブルーシートもあればさらに最強
ブルーシートと土嚢をセットで設置すると外からの水の侵入を抑えることができます。
ブルーシートは、強風や台風の際に屋根が吹き飛ぶのを防ぐことができたり、割れてしまった窓に覆うこともできます。
突然の災害によって家屋が損傷を受けた場合でも、ブルーシートをかけることで安全を確保できます。緊急時に備えて厚手の防水仕様をおすすめ。
エアコンの室外機や鉢植えなども覆うことができます
ご近所では室外機が水没して壊れてしまい
エアコンを買い替えたという声が多かったです。
後悔したこと:避難用の雨具がない
大雨や台風の避難時に雨具があればビショビショに濡れる心配がありません。傘は風で壊れたり雨が横から吹き込んでしまったりと使いにくいため雨具と長靴は必須アイテムです。
日常生活でもアウトドア、登山、自転車、バイク、釣り旅先で思わぬ雨に遭遇したときも持っておくと安心ですね。
避難のタイミングは早めの決断が重要
国の避難行動の指標は…
- 警戒レベル1災害への心構えを高める
- 警戒レベル2避難行動を確認
- 警戒レベル3高齢者避難
- 警戒レベル4避難指示
- 警戒レベル5安全確保
実際のところ…警戒レベルや緊急速報メールは参考にしながらもあらゆる手段で情報を集め予測と早め早めの判断と行動が重要でした。
初めは道路が川になり、あっという間に洪水に変化しやがて海に変貌します。
水害時と地震時とでは対策や避難方法は大きく異なります
決して同じように考えてはいけません。避難を促す「避難指示」の段階での避難は場合によっては手遅れになってしまうことも。
余談ですが…
災害時は「緊急速報メール」が鳴りっぱなしでした。「緊急地震速報」のあのドキドキする音が数時間おきに鳴り家族で待機してるから一斉に鳴る音にビックリしてひっくり返りそうになりました。
テレビ画面も鳴るから心臓に悪い…
水害から車を守る
地方は車社会。ひとりに1台ということも珍しくなく自然災害が発生すると、車で避難する人たちも多くいます。
車中泊が趣味の方は避難所より快適に過ごせますし、さらに安全なエリアの道の駅に行くとお風呂に入れるところが多いです。ペットといっしょに避難できるし何より車を水没から守れます。
でも行動のタイミングを間違えると命に関わるので要注意。
車が浸水するとエンジンや電装品などが損傷するため、修理費用が高額になる可能性が。さらに泥水や汚染水のニオイが取れずに最終的に買い替える人が多いです。
ここでは、車を所有している方に向けて車と命を守るポイントをお伝えします。
アンダーパスに注意
アンダーパスは冠水しやすいので危険性があるときは他の安全なルートを選びましょう。
アンダーパスとは
交差する鉄道や道路などの下を通過するため、周辺より 低くなっている道路
アンダーパスに近づいて冠水してしまった場合はUターンやバックして近づかないようにしましょう。
クルマが冠水している場所に入ると浮力で浮き上がってしまうことがありクルマをコントロールすることができなくなってしまいます。
見た目は水深が浅く「まだ走行できる」と思っても突然、深みにハマってしまって身動きがとれないクルマを何台も見かけました。
災害時や避難行動でクルマを運転する場合ドアロックは解除しておくことも大切です。
車に脱出ハンマーを常備
最悪のことを考えて脱出ハンマーを常備することをおすすめします。車内で水没するとドアやウィンドウが開かなくなる可能性が高いためウィンドウガラスを割って脱出します。
ハンマーと一緒にシートベルトを切るためのカッター付きがおすすめ。
脱出ハンマーの保管はすぐに取り出せるドアポケットがおすすめ
最悪を想定してエンジンルーム部分を高くして避難
車を置いて避難する場合、エンジンルーム、カーナビ、ドライブレコーダーを守るためにジャッキで車体を高くすることをおすすめします。さらに車に防水シートを被せるなどの対策をとりましょう。
もしも車が浸水してしまった場合、JAFや整備工場等に引き取りにきてもらいましょう。
浸水した車のエンジンは故障や感電の危険がありますので絶対にかけないでください
水害を受けたクルマは、ほとんどが乗れません。少しでも被害を抑えるために防災アイテムを揃えておきましょう。
さいごに
大雨が降ると、また街が水没したらどうしよう…という恐怖感があります。この体験で「なんとなく防災」から完全に脱却しました。
こういう状況なら、どうするという選択肢を複数考えておくといざという時に慌てずに冷静に判断しながら行動できます。
「何から準備すればいい?」「避難所に行けばなんとかなるんじゃない?」
と思う方はもしも…をたくさん想像してみてください。命はもちろん大事ですが修繕や事業をされている方は多額の損害も。復興にかかる精神的疲労と金銭面も含めると本気でやるべき防災が見えてきます。