観光で雪道を運転する方や雪国に移住して初めて冬を迎える方は車の運転に不安を抱えることが多いですよね。
「経験があるから大丈夫」
「ゆっくり走るから心配していない」
と思っている人ほどトラブルに遭ってます。
私は雪国育ちで車の運転経験が20年以上あります。一時的に都市部に住んだ経験もありますが、現在はUターン移住で戻り車を所有しています。
この記事では、雪道運転の初心者や雪国への移住者、そして雪道に慣れた人々に向けて、安全に運転するために絶対にやってはいけないことや乗車前に必ず行うことについて解説しています。
「雪道でトラブルに遭ったらどうしたらいいの?」ではなくトラブルに遭わないための情報です!
雪道運転の事前準備(車の点検)
雪道での運転は危険が伴いますが準備と慎重な運転で乗り越えることができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
事前にチェックすること
そのスタットレスタイヤ大丈夫?
スタッドレスタイヤを履いているから安心と思っていませんか?一般的に使用期間は3〜4年が目安です。装着前に溝の残り具合を確認しましょう。
2カ所チェック!
①スリップサインがある場所は、「△」マークで示されています。
②ブロックの突起がタイヤに近づいたらタイヤ交換の目安です。
新品スタッドレスタイヤは、舗装道路で100km程度の走行をするとゴムのグリップ性能が最大限に発揮されます
バッテリー劣化してない?
気温が下がるとバッテリーの性能が低下し電気を蓄える力が弱まります。さらに、電圧も上がらなくなります。
そのため、エンジンをスタートさせるための電圧すら確保できなくなり「エンジンがかからない!」というトラブルを引き起こしエンジンがかからなくなることがあります。
バッテリーの役割はエンジンが作った電気を「貯める」「供給する」です
バッテリー上がりを繰り返すと劣化を招き、バッテリーの寿命が短くなってしまいます。
古くなるほど性能が落ちるため古いうえに寒い!となるとコンディションは最悪です。
バッテリー上がりを防ぐ方法
- 週1回、30分程度、車を走らせる。エンジンをかけるだけは無意味
- エンジン音が弱っていたらバッテリー低下のサイン!
- エンジンを切った状態で電気を使わない。エアコン、室内灯、ステレオOFF
- 車を降りたらヘッドライトや室内灯の消し忘れを確認するクセをつける
- バッテリー寿命は使用開始から2~3年
エンジンを切っていても車のバッテリーは放電されるため、定期的に車を動かして充電する必要があります
寒冷地ウオッシャー液
通常のウオッシャー液でも-30℃までは凍結しないものが多いですが寒冷地用の凍結防止品は-60℃まで液状を保つので安心です。
雪道を走る前はガソリン満タンに!
雪道運転の事前準備(用意しておく物)
万がいちに備えて準備しておくものチェックリストです。道路の通行止めなどで1~2日間の車内での一時的な避難を余儀なくされたときのために、飲料、食料、防寒具などを常備しておきましょう。
雪道運転の事前準備(情報編)
「天気のチェックはやってるよ」という方でも山の天気は特殊です。さらに詳しく調べておくと安心です。また、いざトラブルに遭遇したときに、スマホに登録しているとスムーズに対応できます。
天候・道路情報チェック
目的地の道路情報をチェックして、雨や雪、凍結、視界不良、強風などの危険性をドライブルートで確認しましょう。
ウェザーニュース「ドライブリスク予報」」
1km四方で雪道の運転リスクを予測してドライブルート上の路面の凍結や積雪、吹雪や地吹雪による視界不良をピンポイントで予測します。
国土交通省 公式「おしえて!雪ナビ」」
目的地・経由地の気象状況・交通状況を事前に把握できます。
警報や悪天候が予想される時は思い切って予定変更することも大事です。
もしもに備えた緊急連絡先の登録
万がいちに備えて、加入している自動車保険のロードサービス(バッテリー上がりの応急作業、そのほか車のトラブル)の連絡先やJAFの連絡先をスマホに登録しておきましょう。
雪道運転で絶対やらないで
押さえておきたいやってはいけない4つの急があります。
雪道でやってはいけない「4つの急」
- 急発進
- 急加速
- 急ハンドル
- 急ブレーキ
車の急な動きはタイヤのグリップ力を一時的に失わせ、滑りやすくなるため注意が必要です。特に凍結した路面では急な運転は避けてスムーズな運転を心がけましょう。
走行中に気をつける場所
とくに気をつけるカーブ手前、トンネルの出入り口、長い下り坂、日陰の路面はスピードを落として慎重に運転しましょう。
ホワイトアウトで視界不良
ホワイトアウトは、雪によって視界が覆われる状態で吹雪や大雪、低温下での強風が原因です。運転を続けることは非常に危険なので注意が必要です。
前方が見えにくいときには、最寄りの退避場所や安全な場所で一時待機し、吹雪がおさまるのを待つようにしましょう。
緊急時の対処法
道路で車が動かなくなったら
歩き回らない
事故や故障で停止した場合は、本線や路肩を歩かないように注意しましょう。停止した車の運転者や同乗者が後方から来る車にはねられる事故が多発しています。
後続車に合図
ハザードランプ、発炎筒、停止表示器材を使用して後続車に対する安全措置を行いましょう。
安全な場所へ避難
運転者と同乗者は、通行車両に注意しながら、ガードレールの外など安全な場所に迅速に避難する必要があります。車内は安全ではないため、後続車に追突される可能性もあります。
救助を求めるとき
通報
トラブルの状況に応じて「110番」「道路緊急ダイヤル(♯9910)」「ロードサービス」「JAF」のいずれかで事故や故障状況を通報してください。
救助を待つ間
エンジンを止める
吹雪の中では、マフラーの排気口が雪でふさがれて排気ガスが車内に入ってくる可能性があります。寒いですがエンジンを切りましょう。
いつでも脱出できるように風下側のドアが開くか確認しながら待つ
吹雪の中では、車全体が雪で覆われることがあります。救助を待つ間、風下側のドアが開くか確認しながら、いつでも脱出できるようにしましょう。
定期的に換気する
吹雪で車内が雪に囲まれると、車内の空気が悪くなります。寒い外気でも、窓を開けて換気することが大切です。
雪道運転で心がけること
先頭を譲る
実際に雪道を走っているとスピードを出している車はかなりいます。先頭で走行すると雪道に慣れていないにも関わらずどうしても焦ってしまいスピードを上げてしまい事故につながります。
特に初心者や雪道に慣れていない方は、先頭を譲り先頭車両に先導してもらうのもありです。後続車両は先頭車両のライトを頼りに進むことで、安定した運転と十分な車間距離を確保することができます。
通常の2倍以上の車間距離をとる
冬の雪の影響でタイヤと路面の摩擦が低下し、制動距離が延びるため車間距離に特に注意が必要です。通常の2倍以上の車間距離を確保することで、前方車両が急ブレーキを踏む可能性に備えることが重要です。
下り坂はエンジンブレーキを活用
スピードの出やすい下り坂では、エンジンブレーキを活用して走行しましょう。ブレーキやシフトダウンはスリップの危険があるため注意が必要です。
カーブや交差点に入る前に減速して
カーブの途中でハンドルとブレーキを同時に操作するとスリップの危険性が高まるため、カーブの手前で事前に減速し積雪時のセンターラインの見えないカーブでは対向車線にはみ出さないように注意が必要です。
【体験した事故】スキー観光客と正面衝突
私が高校時代の冬に体験した車の正面衝突の話です。
電車で通学していた私は、近所に住む同級生のお母さんが運転する車に乗せてもらい駅に向かっていました。運転は同級生のお母さんで、助手席には同級生が座り後部座席には私が座っていました。
スキー観光客がカーブで追い越しを試みましたが、間に合わず対向車線にいた私たちの車と正面衝突してしまいました。(画像の雪道と似ています)
幸いにも、誰も命の危険はありませんでした。前の座席に乗っていた同級生のお母さんと同級生は、粉々に割れたフロントガラスによって顔を何針も縫う重傷を負い、私は車から放り出され雪の田んぼに埋まり重度のムチウチで完治に10年かかりました。
相手の方は前歯が1本抜けたとのことです。私たちが乗っていた車はペシャンコで廃車。
雪道では、路面が滑りやすくなり車両の制御が難しく、また、視界も悪く前方が見えにくい状況に。
このような状況で追い越しを行うと車両の制御がさらに困難になります。普通道路の感覚で雪道での追い越しを試みることは危険です。
さいごに
冬のドライブ旅や、移住先で雪道を運転するときは時間に余裕をもって予定を詰め込みすぎないことが大切ですね。私も改めて雪道を過信せず安全運転を心がけます。