冬は仕事のプレッシャーで心がカチコチに凍っていませんか。私は企業の人事として多くの人の働く姿を見てきました。
そこで気づいたのは冬はいちばん心が「溜め込む」季節だということ。年末の繁忙期、評価面談のプレッシャー、忘年会の気疲れ……。
「もう少し頑張れば年末休みだから」と自分に言い聞かせながら気づかないうちに心が少しずつ固くなって壊れやすくなっていく人をたくさん見てきました。
そんな私自身も、かつては同じでした。でも東北に暮らすようになって知ったのです。凍えた心を溶かしてくれる旅がこの土地にはあるということを。
秋田県と青森県を結び日本海沿いを走る絶景ローカル線「五能線(ごのうせん)」そこを走る観光列車「リゾートしらかみ」に揺られる冬の旅は、まさに「心の調律」のような時間でした。
冬の五能線は「美術館の特設展」

冬の五能線の旅は例えるなら美術館の特設展のようなもの。普段は遠くからしか眺められない「冬の自然(白神山地や日本海)」という壮大なアート作品を特別設計された列車という「額縁」越しに鑑賞する。
天井近くまで広がる巨大な窓の向こうには白波が荒々しく砕ける日本海、雪化粧をまとった白神の山並み。
暖房の効いた温かい車内と窓の外に広がる厳しい冬の世界。その対比が、なんとも言えない贅沢さを生み出します。
ボックス席に腰を下ろし足を伸ばして、ただぼんやりと流れる景色を眺める。スマホの通知もメールの返信も、ここではいったん忘れていい。
「何もしなくていい時間」がこんなに温かいものだったんだ。そう気づいたとき肩の力がふっと抜けるのを感じました。
冬の秋田で出会える「もふもふの秋田犬」

冬の五能線旅にはもうひとつ、とっておきの出会いが秋田犬です。
例年、開催され大好評の「リゾートしらかみ×秋田犬ふれあいイベント」リゾートしらかみの展望ラウンジが秋田犬専用の癒やし空間に変身するのです。
窓の外には冬の日本海の白波。車内にはもふもふの毛並みと、つぶらな瞳でこちらを見つめる秋田犬。
私がもふもふの背中に手を触れたとき不思議な感覚がありました。仕事で張り詰めていた「トゲトゲ」が一本ずつ抜けていくような。
上司の無茶ぶりも終わらない資料作成も、あの会議での嫌なひと言も秋田犬の体温に触れたら、ぜんぶ「まあ、いっか」になったのです。
大げさじゃなく本当にそうでした。犬の体温って人間の心の凍結を溶かす力があるんですよね。
マサ君ふれあいイベントについて🐕
冬季限定で不定期に開催されています。2024〜2025年シーズンは12月〜2月に月1回ずつ計3回実施。乗車区間は「森岳駅〜あきた白神駅」間で展望ラウンジでのふれあいを楽しめます。
最新の開催情報・日程は JR東日本公式サイト でご確認ください。
「リゾートしらかみ」乗るだけで癒やされる列車

秋田犬に会えるかどうかに関わらず「リゾートしらかみ」自体が冬の東北旅の最高の相棒。その魅力をいくつかお伝えしますね。
- 巨大なパノラマ窓: 天井近くまで広がる窓から冬の日本海と白神山地の絶景を一望。吹雪の日は窓に叩きつける雪がまるで映画のワンシーンのよう
- ゆったりボックス席 :足を伸ばしてくつろげるプライベート空間。ひとり旅でも家族や友人との旅でも個室空間でゆったり過ごせます
- 展望ラウンジ :4号車の共有スペース。景色が特に美しい区間では、ここに移動して大きな窓に張りつく人も
- 車内イベント: 津軽三味線の生演奏や語り部の昔話など地域の文化に触れられるプログラムも(季節によります)
暖房のぬくもりに包まれながら車窓いっぱいに広がる冬の荒々しい海を眺める。その「守られている安心感」と「自然の迫力」のコントラストが心を静かにほどいていくのです。
冬の秋田旅|地元民が教える防寒&雪道の心得

「冬の東北に行ってみたい……でも寒さが怖い」そんな声をよく聞きます。でも大丈夫。「冬の東北旅で押さえておきたいポイント大きく3つ。
- 防寒は「三層レイヤー」が基本: 肌着(ベース)→ 保温着(ミドル)→ 防風・防水のアウター。列車内は暖房が効いているので脱ぎ着しやすい重ね着が快適旅のカギです
- 足元は「防水・防滑」が絶対条件 :スノーブーツか滑り止め付きブーツを。ネックウォーマー・ニット帽・手袋の「三種の神器」もお忘れなく
- 雪道は「小さな歩幅+足裏全体で着地」:かかとから着くと滑ります。移動時間は普段の1.5〜2倍を見込んでおくと安心
冬の五能線は吹雪による「運休」もあります。でも、それも含めて冬旅の醍醐味。列車が止まったら駅周辺の温泉宿に飛び込んでください。五能線沿線マップPDF(JR東日本公式)
露天風呂から見る吹雪は信じられないくらい美しいから。「予定通りにいかない旅」がいちばん記憶に残る旅になる…これは地元民の実感です。
▶ 服装や持ち物をもっと詳しく知りたい方へ
防寒着の選び方・レイヤリングのコツ・持ち物チェックリストなど冬の東北旅の服装について別記事で詳しくまとめています。初めての雪国旅行で「何を着ていけばいいの?」と迷っている方はぜひこちらもあわせてご覧ください。
乗車ガイド:「リゾートしらかみ」に乗るには

この特別な列車に乗るには、たった2つだけ用意すればOK。
- 乗車券(運賃)
- リゾートしらかみ号の指定席券(全車指定席)
予約はJR東日本の「えきねっと」が便利。冬の週末や祝日は人気が高いので早めの予約がおすすめです。
リゾートしらかみ「予約方法」「きっぷの買い方」はこちら(JR東日本)
さいごに:「自分に優しくする旅」をこの冬の選択肢に

人事の仕事を長くしてきて、ひとつだけ確信していることがあります。心が凍えているとき人は自分に「頑張れ」と言ってしまう。でも本当に必要なのは「頑張れ」じゃなくて「もう…じゅうぶん頑張ってるよ」という言葉。
冬の五能線の旅は、それを自然と感じさせてくれる時間でした。荒波の日本海は「世界はこんなに大きいんだから、あなたの悩みはちっぽけでいい」と言ってくれているようで。
雪化粧の日本海は「冬はじっと耐える季節。春はちゃんと来るよ」と教えてくれる。秋田犬のもふもふは何も言わずに、ただ温かい。
「自分に優しくする」って、こういうことなのかもしれない。仕事で凍えた心を抱えているならカメラと思い出を詰め込むための「空っぽの心」を持って五能線に乗ってみませんか。きっと帰りの列車では少しだけ心が柔らかくなっているはずです。

